2018年4月7日土曜日

自分探しよりも何か1つ武器を手に入れる方が重要

30年間も"自分探し"を続けた50代の末路 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online:

 今回はマーケティングアドバイザー・永井孝尚氏の記事を元に、自分探しを続けても自分の市場価値を高めることはできないというお話です。元記事では、反面教師として、永井氏のご友人で「好きな仕事しかしたくない」が口癖の小林氏(仮名、52歳)を登場させています。小林氏は「好きな仕事」を求めて次々と転職を繰り返します。そして52歳になって望んだ面接で、それまでの生き方を全面的に否定されてしまいます。その面接でのやり取りを元記事から転載させていただきます(↓)。

課長「小林さんですね。A社を皮切りに、さまざまな会社を渡り歩かれて、華麗な略歴ですね。当社の業務はご存じと思いますが、どのような仕事を希望されますか?」
本人「希望というより、自分の好きなことしかしたくありません」
課長「……わかりました。質問を変えましょう。小林さんの売りは、なんでしょうか?」
本人「そりゃ、いろいろとできますよ。A社では◯◯◯の部署で◯◯◯の仕事をして、B社では◯◯◯の仕事を……」
課長「そこまでで結構です。どんな仕事をしてきたかはレジュメで把握しています。お聞きしたいのは『小林さんが得意なこと』です」
本人「先ほど申し上げた通りです。『自分が好きなことしかしたくない』と」
課長「……それでは、質問を変えましょう。小林さんが好きなのは、どんな仕事ですか?」
本人「……どんな仕事が好きか、ですか……。ええっと……」
課長「……わかりました。結果は後日ご連絡します。今日はお疲れさまでした」

 もちろん面接の結果は... 永井氏によれば、好きな仕事を求めて転職を繰り返す小林氏は、結果的に30年間ひたすら「自分探し」しかやってこなかったのです。どこかに「本当に自分が好きな仕事がある」と考え、それに巡り会うチャンスを追い求めて来たのです。ビジネスパーソンとしての「売り」を作って来なかった、つまり「商品力」を磨いて来なかったのです。

 確かに、就職活動の中でその仕事は自分にぴったりだと思っても、いざその仕事を始めてみると、思ったような仕事をさせてもらえず「こんなはずじゃなかった」と思った経験がある人は多いんじゃないでしょうか。実を言うと、自分はあまり深く考えずに今の電機メーカーに就職しました。それでもそれなりに自信を持って就職したわけですが、最初の与えられた仕事は現場実習で製品のペンキ塗りとゴムの緩衝材貼り。その後正式に配属された部署でも、1つ1つのスイッチを入れてパソコン画面上の正しいシンボルの色が変わるかをひたすらテストするという仕事でした。「こんなはずじゃなかった」と思ったものでした。でも不思議と、ここに好きな仕事はないと見限ることはなく、気づいたら18年も同じ会社にいます。幸いにも、ひたすらスイッチを入れては画面を確認する仕事は最初の半年間くらいだけ、その後は比較的好きな仕事(チャレンジングでワクワクする仕事)をさせてもらっています。

 自分は小さい頃から物作りが好きでしたが、就職してからはハードウェアよりもソフトウェアに興味を持ちました。ソフトウェアという分野を志すには遅いくらいでしたが、それでもその仕事をさせてもらい、学会などで標準化活動をしたり講習会で講演したりするアカデミックな場も与えてもらえました。単にモノ作りするだけでなく、事業部門も経験させてもらい、現在は事業部付きの設計部というお客様にも近く物作りもできるという格好のポジションにいさせてもらっています。

 振り返ってみると、入社間もない頃は会社にいる時間も勉強に当てられたので、その時にひたすらプログラムを覚えました。自分の会社は電機メーカーでもそこそこの規模なので、プログラムは外注というケースが多かったのですが、自分はわざわざプログラムを書けるようになったのです。入社数年経った頃には、ソフト開発専門の外注先の担当者さんと比べても負けないプログラミング能力を手にできたのです。この武器を手にしてからは、課題を解決するためにどう実装すればいいか、どの程度の工数がかかるのかなど、立ちどころに判断できるようになり、上の人からの相談事もたくさん舞い込むようになりました。そして、一つの武器を手に入れると、他の武器は向こうから次々とやってきました。この武器を使って手に入れたアカデミックな場では、同業他社のトップエンジニアや顧客筋との人脈を手に入れましたし、アカデミックな交渉ごとで揉まれるうちに苦手だった交渉力やコミュニケーション力もある程度付いてきました。社内では単純な仕事は割り当てられなくなり、チャレンジングでワクワクする仕事が回ってくるようになり、その度に成長することができたのです。

 小林氏も、「好きな仕事」ができないからとすぐに見切りをつけるのではなく、せめて転職時にアピールするための武器を1つ身につけるまではその職場にと止まるようにしていれば、結果はだいぶ違っていたでしょう。武器がない人にはチャレンジングな仕事が回ってこず、一方で1つでも武器がある人には次々と他の武器を身につけるチャンスが回ってくるのです。「売り」がない人はずっと商品価値が低いまま、「売り」がある人はどんどん商品価値が上がって行くわけです。この4月から就職したという人も多いと思いますが、そういう人にアドバイスするなら(ちょっとおこがましいですが)、自分探しなんかしている暇があるなら、できるだけ早くに「何か一つ仕事上の武器を手に入れること」が重要だと思うのです。

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