2018年2月8日木曜日

AIが心の問題も解決できるというのは本当か

大前研一氏 待機児童、いじめ、パワハラはAIで解決できる|ニフティニュース:

 今回の話題は人工知能(AI)ですが、著名な大前研一氏の記事を元にAIが全てを解決するというのは本当なのかということを考えてみようと思います。

 元記事では、人間の仕事の多くが今後AIに取って代わられるという話は既成の事実とされています。個人的な感覚としては、従来人間にしかできないと思われていたクリエイティブな仕事も、従来の経験や知識を元に判断を下すという仕事である限りはAIの餌食になるだろうというのはその通りと思います。これまでも体力勝負の仕事はロボットが、頭脳系の仕事のうち簡単なものはコンピュータが担ってきましたが、AIの発展により頭脳系の高度な仕事までコンピュータができるようになってきたという見方です。

 大前氏の主張のなかで、役人がアナログなシステムの中で「忖度」や「裁量」の余地を作り、さも自分たちが仕事をしているかのように見せかけているが、AIを活用すれば、彼らの仕事はほとんどすべて無くなってしまうというのは、残念ながらその通りだと思います。例えば新たな建物を建てるために役所手続きをするシチュエーションで、建築基準法など関連法令に適合するか否かということはコンピュータの判断で十分でしょうし、上下水道管・ガス管・電話線・地下鉄など埋設物の問題があってもどこを直せばよいかまでAIが判断できそうです。実際すでにシンガポールでは、CAD図面を元に埋設物問題を解決するシステムも稼働しているようです。法律や条例の中で判断を下すというのは、AIやコンピュータの最も得意とするところです。

 しかし、同級生によるいじめや先生によるパワハラの問題も、AIのディープラーニング(コンピューターに自動で学習させる手法)で対応可能だという主張は、果たしてそうだろうかと思います。全国の学校の過去の事例をコンピューターに入れておき、似たような事例を調べてAIに的確な対処法を聞けばよいと言われていますが、果たしてそうだろうかと。

 まず、誰がどうやって過去の事例をコンピュータに入力するのでしょう。プライバシー等の微妙な問題は目をつむったとしても、事例をどうやって数値化できるのでしょうか。いじめやパワハラのような複雑な問題を解こうとすれば、加害者側・被害者側の性格や関係性、時系列的な心の微細な動き・シチュエーションや時代背景・地方など様々な入力データが必要になるだろうことは想像に難くありません。たとえそういったものが正確に数値化できたとして、さらにディープラーニング等のアルゴリズムが解決策を導き出せたとしましょう。でもその解決策を実行するのは誰でしょうか。大前氏の言われるような、ソフトバンクの「Pepper」でしょうか。

 自分には、「心の問題」を解決するのがコンピュータやロボットだとはとても思えないのです。もちろん遠い将来には、体内埋め込み型のセンサーで心の動きや頭の中の考えが逐一データ化できる時代が来るかもしれません。DNAよろしく人間の全ての情報をデータ化し、コンピュータ内に心と頭脳を存在させることすらできるようになる(つまり、肉体から精神を分離させられる)時代が来るのかもしれません。そうなれば、心の問題も数値データの世界(サイバー世界)の問題になりますので、コンピュータが解析して、導き出した結果を心や頭脳にフィードバックすることもできるかもしれません。ただ、今はまだSFの世界じゃないかと思うのです。

 リアル世界の全てを取り扱うには、現代のコンピュータではまだ能力不足じゃないかと思うのです。人間の心を取り扱うのは、もうしばらく診療心理士やカウンセラーのような人たちじゃないかと思うのです。コンピュータやAIを補助的に使用することはあっても、数値化できない定性的な情報を解析したり解決策を実際の行動に移したりするのは、まだまだ人間の領域ではないかと思います。

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