2018年1月6日土曜日

「仕事を頼むときは一番忙しい人に頼め」が正しい業種

「仕事を頼むときは、一番忙しい者に頼め」は本当に正しいのだろうか。 | Books&Apps:

 今回は内科医のfujipon氏による記事を元に、「仕事を頼むときは一番忙しい者に頼め」と言うのは正しいのかという話題。以前この山ちゃんウェブログでも、チームで成果を出すコツは「デキる人を活かし切る」ことだという記事の中で、クリエイティブな職種の場合、仕事の振り方に濃淡をつけることが重要だという趣旨の主張をしましたが、果たして本当にそうなのかというのがfujipon氏の言われるところです。

 fujipon氏は「富士そばは、なぜアルバイトにボーナスを出すのか(丹道夫著/集英社新書)」という本のなかで、ナポレオンの言葉として紹介されている「仕事を頼むときは、一番忙しい者に頼め」という言葉に、本当にそうなのかと疑問を投げかけておられます。チームとして成果を出すことだけを目的にすれば、そして頼む側の論理からすれば、それはもっともなことですが、頼まれる側からすればどうだろうかと。忙しくて目の回る思いをしているときに上司が自分に仕事を振ってくる。アイツの方がヒマそうなのに、なんで自分にばっかり。そんな思いをするのではないかと。

 確かにfujipon氏の言われる通り、人間は周囲の人と自分を比べずにいられないところがあり、いくら他人は他人と考えようとしても、なかなかそうはいきません。そういう意味では、仕事をどんどん振られる人には「忙しい自分」「上司に信頼され仕事を任される自分」に充実感や優越感を感じる人が多いでしょうし、それを横目に見ている人は大して変わらない給料で仕事はラクだったとしても「自分は仕事を任せてもらえない」と不安や劣等感を感じることも多いでしょう。仕事を振られる優秀な人はモチベーションも上がってますます仕事ができるようになり、大きな仕事も任せられたりリーダーに任命されたりの好循環で、職場のエースに成長していきます。一方で仕事を振られない人は、不安や不満が募って周りに悪影響を与えるようになったり、扱いづらい人材に育ってしまうかもしれません。

 おっしゃる通りですよね。「人材育成」という考え方に立てば、仕事の振り方に濃淡をつけるマネジメントは、一部のエース格を育てることはできますが、他の人を役に立たないか下手したら足をひっぱる存在にしてしまうリスクがあります。エース格と見込んだ人も、大して変わらない給料で自分ばかりが忙しい目をしていると不満を募らせたり、仕事の振られすぎで潰れてしまったりしたら、元も子もありません。当然、マネージャーには誰をエースに育てるべきかという「見る目」が重要になりますし、他の人がモチベーションを下げないようケアすることも重要になります。これらを怠ったり失敗したりすれば、そのチームは崩壊してしまうかもしれません。

 しかし自分の経験上からは、クリエイティブな職種・個人のパフォーマンスの差が大きい業種に限っては、成果を出すためにはこれらのリスクをとる必要があると思います。そして、エースとそうでない人には、明確に報酬差をつけたり待遇の差をつけることも必要だと思っています。

 成果が数字として現れやすいスポーツの世界、例えばプロ野球の世界を考えてみましょう。トップクラスのパフォーマンスを出せる選手は、野手だとレギュラーとして毎試合出場して仕事の機会を与えられますし、投手だと中5日で先発して長いイニングを投げることで仕事の機会を与えられます。パフォーマンスが低いとみなされた選手は公式戦に出場する機会が与えられず、それは仕事をする機会を与えられないということです。そして、ハイパフォーマーばかりを出場させるチームと、ハイパフォーマーもそうでない選手も一軍・二軍から日替わり交代でまんべんなく出場させるチームとが、1年間のレギュラーシーズンを戦ったと想像してみてください。どちらが優勝に近づけるでしょうか。どちらが上位の成績をおさめられるでしょうか。後者のような選手起用をした監督は過去なかったと思いますので実際の比較はできませんが、明らかに前者のようなハイパフォーマーを優先的に起用する選手起用の方が成果が出やすいと思いませんか。

 そして、ハイパフォーマーは仕事の出来高にだいたいリンクする形で何億円もの報酬を得る一方で、ずっと補欠とかずっと二軍生活で仕事の機会を得なかった選手は数百万レベルの報酬にとどまるかもしれません。ハイパフォーマーとそうでない人との差は、仕事の機会を与えられるかどうかだけでなく、報酬の面でも歴然としています。プロ野球選手の報酬がパフォーマンスに応じて大きな差がつくことを、「不公平」とか「不平等」とはあまり思わないのではないでしょうか。むしろホームラン王とか最多勝とか大活躍した選手と、一軍で出場の機会がなかった選手が同程度の報酬だとしたら、逆に「不公平」とか「不平等」だと思いませんか。

 わかりやすいプロ野球の例を出しましたが、本来的にはハイパフォーマーとそうでない人との差が大きい職種の場合は同じ論理が適用できるのではないかと思うのです。例えば映画監督とかミュージシャン・画家といった芸術系の世界もそうでしょうし、自分も端っこにいるソフトウェア開発の世界も、個人のパフォーマンスの差が100倍とも1万倍とも言われます。ただ、スポーツの世界のようにパフォーマンスが明確に数字として表れづらいために、ハイパフォーマーとローパフォーマーの差が定量的に測定されていないだけだと思うのです。誰がハイパフォーマーなのかを見極め、見込んだ人を活かしきるマネジメントこそが、成果を出せるチームにできるかどうかの分岐点だと思うのです。

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