2017年4月26日水曜日

クロネコヤマトの再配達、メールやLINEでゼロになる - 日経トレンディネット

クロネコヤマトの再配達、メールやLINEでゼロになる - 日経トレンディネット:

 長時間労働で新入社員の肩が命を絶った電通の事件をきっかけに、クロネコヤマトでもドライバーの長時間労働が問題になっています。その元凶と言われているのが、Amazonをはじめとしたネット通販。ヤマト運輸はAmazonの当日配達サービスから撤退を検討するなど、我々の便利さと引き換えに物流の現場が疲弊している現状があります。

 ドライバーにとって一番負担になるのが、「配達時間帯指定」と「再配達」なのだそうです。自分のところも共働きなので昼間は家に誰もいないのですが、幸いにもマンション住まいで宅配ロッカーがあるので、再配達になることはほとんどありません。生鮮食品など宅配ロッカーが使えない場合のみ時間帯指定を使いますが、普段はほとんどそういうことはありません。それでも以前に比べてネット通販で買い物すること自体が増えたので、ドライバーのベース負荷を上げてしまっているのは事実だと思います。

 今一番問題になっているヤマト運輸でも、提供されている宅配の付加サービスを上手に利用すれば、再配達をグッと減らせます。受取る側も再配達のお願いをする手間を考えると、便利なサービスを利用して客もドライバーも共にハッピーになりたいものですね。そのサービスを受けるためには、まず「クロネコメンバーズ」に登録すること。会員登録すれば、メールやLINEで配達予定や配達完了を確認できたり、割引サービスを受けられたりします。

 再配達を減らして受取り側もドライバーも両方ハッピーを目指すとき一番重宝しそうなのが、「e-お知らせシリーズ」です。配達予定日を事前にメールで通知してくれ、そのメールに書かれたURLから受取り日や時間帯、受取り方法などを変更することもできるのです。受取り側がこのサービスを使って確実に受取れる時間と場所を選べば、理論的には「再配達ゼロ」も可能なはずです。イマドキはメールよりLINEでしょうという人は、ヤマト運輸LINE公式アカウントの「友達」になって、クロネコメンバーズのIDとLINEを連携させておくと便利です。配達予定日の通知がLINEにも届いたり、LINEトークから配達状況を確認して受取り日時や場所を変更することもできます。


 他にも一軒家の人は、駅などに設置されている「宅配便受取りロッカー」を利用することもできます。まだまだ数は少ないものの、昨今の注目で設置場所が拡大中とのことなので、自宅近くに設置されていないか調べてみるといいかもしれませんね。

 少し前から話題に上がっている宅急便ドライバーの長時間労働ですが、受取る側の工夫次第で負荷を下げることは十分にできそうです。自分はマンション住まいのため、これまで宅配ロッカー経由で受け取るというのがデフォルトのようになっていて、その便利さを気に留めていませんでしたが、よくよく考えるととても便利なシステムですよね。戸建て用の宅配ボックスも最近飛ぶように売れていると聞きますので、みんなで工夫して無駄な労力をかけることがないようにしたいものですね。

2017年4月25日火曜日

心が折れそうな17歳、手帳に挟んだ言葉が救ってくれた:朝日新聞デジタル

心が折れそうな17歳、手帳に挟んだ言葉が救ってくれた:朝日新聞デジタル:

 今回の元記事は朝日新聞デジタルの久永隆一氏・大岩ゆり氏の記事で、死にたいと悩む若者を支える大人がもっともっと必要だという話題です。

 元記事では、都内のある女子高校生の話が紹介されています。女子生徒は、いじめを受けていた友達に誘われて一緒に学校を休むようになったのをきっかけに、中学3年生の頃から不登校になっていきました。「学校に行けない」ということに、自らのアイデンティティというか存在価値が見出せなくなっていったのだそうです。家族とも軋轢が生まれ、ついにリストカット。周囲の助けによって一度持ち直したものの、高校に進んでしばらくすると、友達や家族の悩みでまた気持ちが不安定になります。テストの順位が落ちたり、部活動にも居場所がなくなり、自宅アパートの屋上に立って地面をのぞき込みました。「やめて!」。追いかけてきた妹たちの泣き叫ぶ声でわれに返ったそうです。

 女子生徒を支えているのは、手帳に挟まれた何枚かの手書きのメモです。「自分を責めない」「他人の言葉は気にしない」「自分を大切にする」。通院するクリニックの主治医が毎回くれるもので、心が折れそうになるとこれを読み返しています。主治医は、女子生徒に「自分を大切にすることが、お母さんとか大事な人を大切にすることになるんだよ」と話しかけ、孤立を感じないように「いつでもクリニックに電話して」と伝え続けています。

 2014年の中学生へのアンケートにおいて、なんと9%が「死にたくなる」と回答し、3%は過去1年間に「実際に死のうとした」と答えたのだそうです。「自傷行為」にまで及んだのは2.5%。この数字をどう思うでしょうか。自分が10代の頃を思い返してみると、確かに若者ならではの悩みや迷いにはまっていたことはありますが、「死ぬ」ということがこれほどリアルではなかったと思います。過激なことを口にすることはあっても、どこか冗談であって本気じゃない感が漂っていました。しかしこのアンケート結果は、イマドキの若者にとって「死」はリアルで隣人か友人であるかのような身近さだということで、そのことに戦慄を覚えませんか。

 児童精神科医の長尾圭造氏は、ある中学校の生徒が親に叱られて自宅ベランダから飛び降りようとしたことに対して、「甘えたい願望」が強いのが原因だと指摘しています。誤解しないで欲しいのですが、すぐに死にたいと口にするイマドキの子供はたるんでいるという意味ではありません。幼い頃に親に十分甘えることができなかったということです。この生徒は年下のきょうだいがいて、親はいつも「年上なんだから我慢しなさい」と言うことに不満をもらしていました。

 死にたいという方向に行くか乱暴者・不良という方向に行くかの違いはありますが、総じて幼い頃に親に十分に甘えることができなかった子供は、精神的に満たされない思いから、自己肯定感が乏しく精神的に不安定になりがちだという実感があります。裏を返せば、小さい時にしっかりと親の愛情を受け取って自己肯定感を高めることこそ、心の安定した成長を支える重要なファクターだと言えるのではないかと思います。そして自己肯定感の低いまま中高生くらいになって、先の女子高校生やこの中学生のように症状が表面に現れてきても、そこから愛情をしっかり注がれて自己肯定感を高めていけば、彼らの命を救うだけでなく安定した心を取り戻すことも十分に可能だということだと思うのです。

 昔のように地域で子供を育てる雰囲気が強かった頃は、親だけでなく近所のおじさん・おばさん、地域のお年寄りなど、様々な人が子供の自己肯定感向上に寄与しましたが、最近の近所づきあいが希薄な社会では子供に愛情を注いでくれるのは親と近親者のみというケースが多いと思います。そうなってくると、必然的に注がれる愛情が不足したまま、自己肯定感が高まらないまま、成長して行く子供たちも増えているのが実際のところなのでしょう。親は愛情過多だと言われるくらい子供に愛情を注いであげる、自己肯定感が低いまま育った子供に対しても、今からでも遅くないので多少ウザがられたとしても、しっかり褒めたり叱ったり、君のことが大切なんだというメッセージを送り続けることが重要なんだろうなと思います。

2017年4月23日日曜日

フェイスブック、脳で操作するコンピューター技術を開発へ  :日本経済新聞

フェイスブック、脳で操作するコンピューター技術を開発へ  :日本経済新聞:

 今回は少し前のニュース記事ですが、フェイスブックも脳で操作するコンピューターの開発に乗り出したという話題です。小川義也氏の記事を元にしていますが、つい先日もイーロン・マスク氏がNeuralinkいうスタートアップでBMI(Brain-Machine Interface)の開発に乗り出したという話を書いたばかりですが、フェイスブックも同じ将来を見ているようです。

 Neuralinkが目指すところが謎に包まれているのに対して、フェイスブックは頭に思い浮かべるだけでコンピューターの入力ができる技術という、SNSもっと簡単で誰でも使えるようにするというコンセプトがはっきりしていて、数年以内の実用化を目指すとのことです。フェイスブックの先端技術研究部門「ビルディング8」のトップ、レジーナ・デューガン氏によれば、外科手術によって特殊なセンサーを脳に埋め込むのではなく、光学画像装置を使って外側から脳の動きを読み取るのだそう。確かに、普通に考えるBMI(Brain-Machine Interface)は手術によって脳とコンピューターを繋げる必要があるので、一般の人には相当にハードルが高いでしょう。いくら頭で思っただけでコンピューターを操作できると言っても、サイボーグのような姿になることを受け入れるにはまだ文化的素地が整っていません。そこへ行くと、フェイスブックの目指す、人間が考えたことを画像装置で読み取るというのは、現実路線として十分に受け入れられる可能性がありそうです。ただ、具体的にどんな技術でそれが可能になるのかは、見当もつきませんが...

 デューガン氏によれば、当面の目標は「1分間に100個の言葉を、思い浮かべるだけで入力できるようになること」だと言いますから、その辺の技術的な積み重ねはかなりのところまで来ている可能性が高いですね。現在もコンピューターの操作にはまだキーボードとマウスが現役ですが、徐々にスマホやタブレットのタッチパネル操作がそれを上回り、さらには最近はAmazonのAlexaというエンジンを使って声で操作するのも広がりつつあります。声による操作は、AppleのSiriやGoogleのGoogle Assistant、MIcrosoftのCortanaなどもあり、最近流行のAI(人工知能)が人間の声の特徴を捉えてコマンドを受け付けるというのは共通的です。

 そのずっと先の夢の技術が、頭に思い浮かべることでコンピューターを操作したり、映像や音声・感触などを直接脳にインプットするインタフェースです。ドローンによる映像や音声・空気感さえも直接脳にインプットできるなら、究極のバーチャルリアリティが実現できそうですが、そこまではさすがにまだ夢の技術ですので、フェイスブックの試みは夢と現実路線のいいバランスにあるように思います。指一本動かさず頭に思い浮かべるだけでコンピューターに入力できるなら、体の不自由な方やお年寄りとのコミュニケーションなど福祉面への応用も効きそうで、個人的にはとても期待する技術です。

「上司より 呼び出し多い ○○○」パパママ川柳入選作 - ライブドアニュース

「上司より 呼び出し多い ○○○」パパママ川柳入選作 - ライブドアニュース:

 今回は、オリックスグループによる第1回「働くパパママ川柳」のニュース記事から。自分にも子供が2人いますが、上の子は小学2年生、下の子は保育園で、入選作品を読んでみると、そうそうあったあったというちょっと懐かしいような感覚を覚えます。

 大賞は「カバンには パソコンスマホ 紙おむつ」。ウチの場合は下の子がようやくオムツが取れかかっているのですが、ほんのひと月前はお出かけの時はカバンにオムツが必須だったので、オクさんが休日にお出かけしたそのままのカバンで出勤すると、オムツが入れっぱなしというのはよくありました。

 他にも「すべりこむ 会社に園に お布団に」「上司より 呼び出し多い 保育園」など、忙しさで生活がいっぱいいっぱいな実感が出ている作品が入選しています。ウチもいまだにギリギリの生活(経済的という意味よりも時間的という意味で)で、朝は自分が妹ちゃんを保育園に送って行ってそのまま出勤、帰りはお義母さんがお兄ちゃんと妹ちゃんを学童と保育園へ迎えに行って、夕食も食べさせてくださったところをオクさんが迎えに行く。家へ帰っても、お風呂に入ればもう寝る時間。なんとかお兄ちゃんの音読の宿題を親子で済ませて、ベッドへ滑り込む。そんな、一人でも病気したら成り立たなくなるような、バッファのない生活をしています。お兄ちゃんが保育園に通い始めた頃(といえば、5, 6年も前ですが)、それまでの温室育ちとのギャップでよく保育園で病気をもらってしまい、熱が出たという保育園からの電話が2週間に1回くらいの頻度だった頃があります。この電話があるとどんなに仕事が忙しくても、急いでお迎えに行って、そこからお義母さん・オクさん・自分が持ち回りで順番に休みを取るのですが、病気が治って保育園に行き始めても、まだ体力的に完全に回復できていないからかすぐに次の病気をもらってしまうというループに陥ったものです。最近では、お兄ちゃんは小学校で皆勤賞、妹ちゃんも元気に保育園に通ってほとんど休まないので、随分とラクになりましたが、お兄ちゃんの保育園行き始めは、園に行っている日よりも休んでいる日の方が多い月もあったほどでした。仕事中の電話の着信画面に「保育園」の文字を見たときの、あの愕然とする感覚。うまくオブラートに包んだ作品だと思います。

 あと入選作品で気になったのは、優秀賞の「駅に着き 深呼吸して ママになる」という作品。オクさんに聞いて見るとこの作品はよく分かると言っていましたが、自分も駅で降りてから自宅までの間にスイッチを切り替えているので、とても共感できる作品です。そして、通勤電車の中は貴重な自分の時間で、音楽を聴いたり本を読んだりこのブログを書いたり、仕事モードとパパモードの間にあるこのバッファ時間が生活のバランスを取る上でとても貴重な時間になっています。仕事に家事に子育てに忙しいパパ・ママは、この時間を大切にしている人が多いと思います。

 どの作品も、働くパパ・ママの忙しい生活をよく表していて、あるある、あったあった...と思います。忙しい生活の中でもこういう川柳で笑いを作るのが日本人のいいところで、また明日から頑張ろうという気にさせられますね。

2017年4月21日金曜日

優秀すぎることが昇進の妨げになる理由 - WSJ

優秀すぎることが昇進の妨げになる理由 - WSJ:

 4月も後半に入り、新しい環境にも慣れてきたでしょうか。みんなが新しい職場・新しい役職に就く中、自分だけ取り残されたように昨年度と同じ仕事をしているという人もいると思います。今回はJoann S. Lublin氏の記事を元に、優秀さと昇進が必ずしも一致しない、いやむしろ優秀すぎる人は昇進しづらいというパラドックスを考えてみたいと思います。

 あなたがなかなか昇進できないのは、もしかしたらあなたが優秀過ぎるために上司が手放すことを拒んでいるかも知れないというのです。優秀な部下を持つ上司は、その部下の昇進や異動を後押しするのではなく、逆に手元に置いておこうとする傾向があるのです。「才能の溜め込み」と呼ばれる現象です。2016年、企業生産性研究所(Institute for Corporate Productivity=i4cp)が665社を対象に調査したところ、優秀な部下を溜め込む管理職は半数にものぼるのですが、業績の悪い企業はさらにその割合が上がって74%にも達したのだそうです。i4cpでこの調査を行なったケビン・マーティン氏は、企業の中心を担うミレニアル世代は転職を厭わない傾向があるので、才能の溜め込みは企業の競争力の源となるキーマンが会社を去ることにつながる、と指摘しています。

 人材がそのまま競争力につながるような企業の場合、この問題は放置しておけません。例えば大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤングでは、右腕となる優秀な人材を育成した管理職には報酬を与えていますし、米アリー・ファイナンシャルでは、社員が自身の昇進を幹部に働き掛けることを認めています。

 しかし、自分が所属するのが古い体質の電機メーカーだからかも知れませんが、日本企業では、この問題はみんな薄々感じているにもかかわらず、対策を取っていると宣言する企業は少ないでしょう。自分の見聞きする範囲では、優秀な部下を持った上司の反応は大きく2通りに分かれるような気がします。1つ目のタイプは、優秀な部下と必死に張り合おうとする上司です。事あるごとに若かりし頃の自慢話をしたり、役職としての上司と部下という関係を必要以上に強調したり、場合によっては大きな仕事を意図的にその部下に回さなかったり。そして2つ目のタイプが、今回の問題である溜め込みに走る上司です。その場合は、部下の仕事の成果を横取りして自分の手柄とし、部下の優秀さが社内で知れ渡ることがないことになって優秀な人材が埋もれてしまいます。

 日本の場合、米アリー・ファイナンシャルのように社員本人が自分の昇進を幹部に働きかけるという動きは様々な軋轢を生みそうです。何より1つ目のタイプの上司はメンツが潰されたと感じるかも知れませんし、そうやって周囲の反感を買って出世したとしてもその後の仕事がうまくいく可能性は低いでしょう。したがって、米アーンスト・アンド・ヤングのように、優秀な人材を育てた上司には報酬や上司自身の昇格などインセンティブを与えることが望ましいと思います。そうすれば第1のタイプの上司は、ありがちな「あいつを育てたのは俺だ」というのをオフィシャルに自分の手柄にでき、その意味でその優秀な部下の上位にいられます。第2のタイプの上司も、優秀な部下を昇格させることで右腕を失ったとしても、大きな社内評価を得て次のエースを育てることに邁進してもらえればよいでしょう。つまり「優秀な人材を多く輩出した」ということが、その上司の重要な成果だとオフィシャルに会社が認めるのです。よく考えると、これはスポーツの世界ではとてもよくあることですよね。選手としてパッとしなかったとしても、引退後にコーチに転身してオリンピックのメダリストを輩出したとなれば、優秀なコーチとしての地位も名誉も得られることがよくあります。あれと同じことを会社組織の中でもやっていけば、埋もれてる人材をしっかり発掘できるようになるかも知れませんね。

2017年4月20日木曜日

相手がみるみる焦りだす。口下手な人が交渉を有利に進める方法 - まぐまぐニュース!

相手がみるみる焦りだす。口下手な人が交渉を有利に進める方法 - まぐまぐニュース!:

 今回は自分への自戒の念も込めて、谷原誠氏による記事を元に交渉術に関して考えてみようと思います。実は、自分もどちらかというと交渉下手な方で、相手に対して強く言えなかったり、思い通りの落とし所で決着できた試しがない気がします。一貫性の原理(自分の行動や考えを一貫性があるものにしたいという心理)を逆手に取ったフットインザドア・ローボールテクニック、返報性の原理(施しを受けたらお返ししなければという心理)を逆手に取ったドアインザフェイスなど、交渉術に関するテクニックを勉強はしましたが、実戦であまり役立った気がしません。

 谷原氏の記事の要諦は、本質的には「口下手と交渉下手は違う」と言うことです。そして自分のことを口下手だと思っていて、口下手だから交渉下手だと思い込んでいると言うのです。確かに、交渉の席で相手ばかり話しているとなんとなく押されている気になって焦ってしまい、こちらも何か言わなければと不用意な発言をしてしまうケースがあります。そして一度口をついて出てしまった言葉との一貫性を保とうとして、相手のフットインザドア・ローボールテクニックに陥ってしまうのです。ちなみに、フットインザドアと言うテクニックは、セールスマンが訪問した家のドアに足を入れるところから来ていて、訪問を受けた側が、ドアを開けたのだから話を聞かないといけない、話を聞いて商品にいいねと言ってしまった手前買わない理由が見つからない、など自分の行動に一貫性を保とうとする心理を逆手に取って、どんな小さなことでもとにかく相手にYESと言わせれば、その後はYESを引き出しやすくなると言うことです。試着や試食もこのテクニックが使われていて、相手のマシンガントークにじゃあ試着だけしてもいいですよ、なんて答えてしまうとその後購入を迫られた時に断りづらい心理が働くというわけです。

 そこで、「雄弁は銀、沈黙は金」という格言を思い出してはどうかと言うのです。自分を口下手だと思っている人は、相手に喋らせるだけ喋らせても「焦りを感じない強い心」が必要なのです。何を言ってよいかわからない時は、無理に話さず、黙っていてもよいのです。喋りまくってもレスポンスがなければ(そのために相槌も打ってはなりません)、今度は相手が慌ててきます。喋ると言うことは自分の持っているカードを切るということなので、相手がたくさん喋ることで切るカードが残り少なくなっても、こちらはカードを温存しているように見せるのです。相手は、こちらがとんでもない強いカードを持っているんじゃないだろうかという疑心暗鬼にとらわれるでしょう。そうなったらシメたもので、落ち着いて本来すべき主張をするのです。

 他に、自分が思う交渉で重要なことは、交渉前に冷静に落とし所のポイント(譲歩できないライン)を決め、交渉の中ではそのポイントを決して変えてはならないということです。ポイントを変えようとする場合は、必ずその交渉は一旦打ち切って、後日の再交渉に持ち越します。1回の交渉の中でポイントを変えてしまっている場合は、相手の心理テクニックに落ちてしまっていて、自分で自分にそのポイント変更を納得させようとしてしまっている可能性が高いのです(相手の説得よりも自分で自分を説得する力が強いことは様々なところで言われています)。口下手な人ほど、冷静に事前の落とし所ポイントを心の中で唱え、相手には喋るだけ喋らせてポイントを変更しない、という方法が効果的なんだと思います。

2017年4月19日水曜日

セキュリティ向上? プライバシー侵害? AIによる従業員の行動監視 | TS World部 | デジカルCOLUMN | 明日をちょこっとHAPPY!にするデジカル系情報マガジン TIME&SPACE(タイムアンドスペース)

セキュリティ向上? プライバシー侵害? AIによる従業員の行動監視 | TS World部 | デジカルCOLUMN | 明日をちょこっとHAPPY!にするデジカル系情報マガジン TIME&SPACE(タイムアンドスペース):

 今回は人工知能(AI)関係の話題ですが、幸野百太郎氏の記事を元に、テクノロジーの発展がむしろ人間にとって住みづらい世の中を生んでしまうかもしれないということを考えてみようと思います。ロンドンのスタートアップ、StatusToday社が提供する、従業員の行動を監視するAIプラットフォームがその題材です。

 少し前のことですが、ITの世界では「フォレンジック」という言葉がもてはやされたことがありました。「デジタル・フォレンジック」とか「コンピュータ・フォレンジック」のような言い方で、コンピュータやネットワークシステムのログを詳細に調査して、過去に起こったことを立証する証拠を集める、といったような意味です。例えば、情報漏洩やセキュリティインシデントが発生した時に、容疑者がいつどのファイルにアクセスしたか、オフィスのどのドアをいつICカードで開けたか、どの監視カメラにいつ映っていたか、コピー機で何をコピーしたか、というような全く異なるシステムのログをつなぎ合わせてその行動を追跡できるように、しっかりログを残さなければならないとか、その元データとして異なるシステムのログを一元的にデータベースで管理するといったことも「フォレンジック」と言いましたし、普段不正がないことをログに残すといった意味で「監査ログ」という言い方をしたりもしました。

 これらの「フォレンジック・ログ」は、一元的に管理されていてもいなくても、よほどの事件でもない限り普段は役に立つことはありませんでした。それは、これらのログは膨大なデータ(今で言うところのビッグデータ)で、フォレンジック解析は各システムの専門家が人手でログを解析する時間もコストもかかる作業だったためです。その分析作業を人手からAIに移行することで、特別なインシデントがあった時でなくても日常業務の中で通常のオペレーションも分析することができるのが、StatusTodayのAIだと言うのです。

 つまり、いつもとちょっと違うオペレーションをAIが検出してアラートを上げることができると言うわけです。例えば、いつもよりコピーするファイルの数が多いとか、白黒コピーがほとんどだった人がカラーコピーを大量にしているとか、普段は喫煙所に5分くらいしか滞在しない人が1時間も喫煙所にいるとか、顧客先を訪問した営業マンが普段より長い時間帰ってこないとか、普段の営業回りに比べてガソリンの消費量が極端に少ないとか、社用スマホの位置情報が漫画喫茶から3時間も動かないとか...とにかく、「普段と少し違う」ことを自動で検出して管理者にアラートを上げることができると言うわけです。StatusTodayのAIはどちらかというとPCの操作ログのようなIT系の操作のみが対象のようですが、将来的には入退室管理・監視カメラ・コネクテッドカーの情報・位置情報など、IoT系の様々な情報をつなぎ合わせると人の行動を丸裸にすることは十分に実現可能でしょう。

 自分が勤める会社も電機メーカーなので、入退室管理や監視カメラのシステムを納めたりもしていますが、将来的にはIT系だけでない様々なシステムのフォレンジック・ログを統合し、ビッグデータとして活用するビジネスに移行していきそうだというのは以前からずっと言われてはいました。しかし、そういう「監視社会」が人間にとって窮屈な世界になりそうだということは、みんな気づいている通りです。例えば、不正に顧客情報にアクセスしてUSBメモリーにその情報を持ち出したこと、経営情報にアクセスしてインサイダー情報を得たこと、そういう大きなアラートを検出して未然にセキュリティインシデントを防いだり、犯人逮捕に一役買うことはもちろん素晴らしいことかもしれません。しかし同時に、真夏の営業回りの途中で喫茶店で一息入れたこと、出張にかこつけて温泉に入りにいったこと、営業車を木陰に止めて仮眠を取ったこと、プライベートなコピーに会社のコピー機を使ったこと、そういったことも全て監視されているとしたらどうでしょうか。人間は完全に品行方正なばかりではありませんので、ちょっとヤル気を失ってサボる日があったり仕事とプライベートが多少ごちゃ混ぜになった時もあるでしょう。そうしたちょっとしたズルにもずっとAIの監視の目が光っているとしたら。

 そこまで考えた時、自分の頭に思い浮かんだのはジョージ・オーウェル氏の「1984年」でした。この小説自体はディストピア(ユートピアの反対)のストーリーで、全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いています。唯一の政党を率いるのは「ビッグ・ブラザー」と呼ばれる実在するのかしないのかわからない人物で、国民は党の最大の敵、エマニュエル・ゴールドスタインに対して、毎日テレスクリーン(双方向のテレビとマイク)を通して「二分間憎悪」を行なって憎しみを駆り立てます。テレスクリーンによって、全ての国民は党の監視下に置かれ、プライベートは存在しなくなっている、そんな世界です。描かれているのは全体主義の恐怖が中心ですが、テレスクリーンという国民を監視するテクノロジーが印象的です。小説の当時は「監視」とは映像と音声のみだったのでしょうが、現在のあらゆるフォレンジック・データとそれをAIで解析する「監視」は、ある意味カメラやマイクのような死角がないだけに、さらに厳しいものになる可能性があります。

 あらゆるシステムのフォレンジック・データ連携し、そのビッグデータをAIが解析するという最先端テクノロジーは、「AIが人間を監視する社会」という、人間にとってむしろ好ましくない世界を生み出す可能性があります。生活を良くしよう、便利にしようというのがテクノロジー発展の大きな動機だと思うのですが、一部の為政者や経営者にとって国民や従業員を従わせる大きな武器になるという意味での便利さは提供しますが、国民・従業員といった管理される側はたまったものじゃありませんね。